本業の収入が不安定と言われる現代では、終身雇用制度の崩壊や、老後2,000万円問題の解決目処がつかないことから、将来的な収入確保のために「副業」や「投資」を行う方が増えています。
その中で労力を抑えることができる投資は特に人気が高く、さまざまな投資運用をしている方も多いです。
一般的に投資は資金が無いとできないと思われていましたが、近年では低資金から始めることができる「不動産投資信託」が注目を浴びています。
不動産投資信託は、専門家の力を借りて運用できるため、初心者の方でも始めやすい投資です。
そこで今回、不動産投資信託(REIT)について仕組みとメリット・デメリットを紹介します。
最後には不動産投資信託が向いている人を紹介するため、自身が該当するか確認してから始めてみてはいかがでしょうか。
Contents
不動産投資信託(REIT)とは
そもそも不動産投資信託(REIT)とはどのような投資なのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとった略称で、アメリカで生まれた投資方法です。
Real Estateは不動産を表し、Investment Trustは投資信託を意味します。
日本では2001年に最初の証券取引所に上場し、20年経った今では、投資家達の認知度も向上してきました。
不動産投資信託は投資法人であるREITが、投資家から資金を集めて一つの不動産を購入します。購入した不動産から得られる賃料収入や売却利益を投資家達へ分配して収益を得る方法です。
内容的には株式などと似ていますが、投資対象は不動産であり、分配金も不動産の収益から成り立ちます。
不動産投資信託と実物不動産との違いとは
不動産投資信託と実物不動産との大きな違いは、「物件を直接所有するかどうか」の違いです。
実物不動産は投資する物件を自ら探し、金融機関からの融資を利用して購入するのが一般的です。購入後は、物件の入居者(利用者)確保を行い、賃料収入を得る流れです。
一方、不動産投資信託は投資家達が資金を出し合い、全て投資法人が物件の選定と運用を行います。投資家が物件を選ぶわけでもなければ、入居者の募集を行う必要もありません。
つまり、不動産投資信託は実物不動産と異なり、間接的に収益を受け取るというところが、大きな違いといえるでしょう。
不動産投資信託の仕組みとは
不動産投資信託(REIT)は「不動産投資法人」という、不動産を取得・運営することだけを目的として創られた会社が投資証券を発行し、証券取引所に上場します。
上場しなければ多くの投資家から資金を集めることは出来ません。
投資家から集めた資金を元手に、マンションや商業施設、店舗などへ投資を行い、賃料収入を得ています。不動産を売却した際は、売却利益も投資家達へ分配します。
しかし、投資した不動産から得た収益をまるごと投資家達へ分配するのではなく、不動産投資法人が利益から手数料を差し引いた金額を分配する仕組みとなっています。
また手数料は購入時と売却時に必要となり、証券会社によって異なるため、注意しましょう。
不動産投資信託のメリットとは
不動産投資信託のメリット・デメリットを知ることで、自身の投資方法に合っているか判断がしやすくなります。
また、他の投資方法とも比較することも可能となります。
そのため、ここでは不動産投資信託のメリットを3つ紹介します。
- 小額投資から始められる
- 分散投資によるリスク回避も可能
- プロに一任できる
小額投資から始められる
不動産投資信託は約10万円から始めることが可能です。最も最低投資額の低いJリートで1口2万円~台、高くて80万円~程になります。
実物不動産は投資する物件によるものの、一般に数千万円~数億円の資金が必要です。
さらに実物不動産へ投資する方の多くは金融機関からのローンを利用しますが、毎月の借入返済を行っていく必要があります。
一方、不動産投資信託は低資金で始めることができるため、自身で投資資金を選ぶことが可能です。
自身の資金力に合わせた投資ができる点が、不動産投資信託のメリットともいえるでしょう。
分散投資によるリスク回避も可能
不動産投資信託は複数の投資証券を購入できるため、分散投資が可能です。
実物不動産は1棟または1室に対して投資を行います。投資している物件が自然災害などのよって入居者が居なくなった場合は、家賃収入が0円になる可能性もあります。
しかし、不動産投資信託で分散投資をしている場合、収入が0円になるリスクを軽減することが可能です。
プロに一任できる
不動産投資信託は、不動産投資のプロが投資する物件の選定を行うため、不動産投資初心者の方にとっては非常に安心できます。また投資した物件の運用もプロが行います。
実物不動産は自身で運用し、売却タイミングなどを見極める必要がありますが、不動産投資信託は専門家に全て一任できるため、投資家達は投資物件に対して何か行うということは少ない特徴があります。
不動産投資信託のデメリットとは
不動産投資信託には資金面やリスク面で大きなメリットがあります。
一方でデメリットも3つ挙げられるため、投資を始める前に理解しておきましょう。
- 金融機関の融資が利用できない
- 投資会社の倒産リスク
- 元本割れが発生する可能性もある
金融機関の融資が利用できない
不動産投資信託は金融機関の融資を利用することはできません。そもそも、不動産投資信託の資金を融資する金融商品がないためです。
必ず自己資金での投資が求められますが、投資資金が少ない場合は得られる分配金も少なくなります。
そのため資金に余裕のない方が不動産投資信託で大きな収益を上げることは難しいでしょう。
投資会社の倒産リスク
REITへ投資する投資会社が倒産する可能性は0ではありません。
万が一倒産した場合であっても、投資した不動産の価値がなくなることはないため、収益が0円になる可能性は低いですが、残余財産の処理などの費用がかかるため、元本が戻ってくる可能性は低くなるでしょう。
そのため、投資会社の選定は重要なポイントにもなるということを理解しておきましょう。
元本割れが発生する可能性もある
不動産投資信託は株式同様、価格が日々変動します。場合によっては購入時より価格が下落し、元本割れが発生する可能性もあります。
実物不動産は経済情勢や金融市場の影響を受けにくいメリットがありますが、不動産投資信託は大きな影響を受けるため、価格の変動によって元本割れが発生する可能性もあると理解しておきましょう。
不動産投資信託が向いている人とは?
これまで不動産投資信託のメリット・デメリットを紹介してきました。
ここでは不動産投資信託に向いている人について紹介します。自身が該当しているか確認してみてはいかがでしょうか。
資金力がない方
実物不動産は価格も高額であり、金融機関の融資審査をクリアしなければなりません。
一方不動産投資信託は、実物不動産と比べて資金面のハードルも低い特徴があります。
投資額も最小で2万円台から始めることができるため、資金に余裕のない方が投資に向いています。もちろん投資資金も少なければ、分配金も少なくなるため、大きな収益は見込めません。
しかし、年々投資額を増やしていくことで、将来的に大きな収益を手に入れることも可能でしょう。
投資初心者の方
不動産投資は専門的な知識や経営判断が求められ、経験値で大きな収益差が出る投資です。
不動産投資信託は全てプロに一任できる特徴があるため、不動産投資初心者の方でも安心して運用できるでしょう。
しかし、投資法人が倒産するリスクは払しょくしきれません。そのため、運用を任せる業者の選択は慎重に行う必要があります。
まとめ
今回、不動産投資信託(REIT)について仕組みとメリット・デメリットを紹介してきました。
不動産投資信託は低資金で始めることができ、なおかつ不動産投資のプロに任せることができることから、不動産投資初心者への人気が高まっています。
しかし、大きな収益を生むことは難しく、場合によっては投資法人が倒産する可能性も0%ではありません。
そのため、プロに任せられるという点だけで不動産投資信託を始めるのではなく、さまざまなリスクを考量したうえで、投資判断するようにしましょう。
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