不動産

不動産投資利回りの最低ラインとは?都心部物件と地方物件を比較!

不動産投資をする判断基準として最も重要視されるが利回りです。利回りが悪ければ、投資金額を回収することができず、場合によっては赤字物件にもなりかねません。

しかし、不動産投資初心者の方は「利回りとは何?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は不動産投資の利回りにフォーカスをあて、計算方法と最低利回りライン、都心部と地方物件の利回り比較を紹介します。

本記事を読むことで、自身が投資する物件の利回り計算ができるようになり、投資の失敗を事前に防ぐことができます。

2つの利回り計算方法

利回りとは、投資した金額に対し、1年間で回収できる割合を指します。

不動産投資の場合、投資物件に対し、年間の家賃収入などがどれくらいの割合であるかを示したものあり、利回りが高いほど収益が良いことを意味します。

しかし、一口に利回りといってもさまざまな種類があり、内容を理解していないと赤字物件へ投資してしまうことにもなりかねません。

一般的に不動産投資物件広告へ記載されている利回りは「表面利回り」ですが、投資をする上で重要なのが「実質利回り」です

双方の利回りが投資するうえで重要なキーポイントになるため、計算方法と内容を紹介します。

表面利回り

表面利回りとは、年間収入を投資金額で割り返したものであり、不動産業界で最も用いられている指標です。

先ほどもお伝えした通り、投資物件の広告には表面利回りが掲載されています。

表面利回りは以下の計算方法で算出できます。

表面利回り(%)=(年間収入÷投資金額)×100

仮に5,000万円の投資物件の年間家賃収入が400万円である場合、利回りは「8%」となります。8%の利回り物件である場合は、12年6か月(100%÷8%)で投資金額を全額回収するということを意味します。

しかし表面利回りは支出となる管理手数料や固定資産税などの費用が加味されておらず、実際のキャッシュフローは利回りより低くなります。

つまり、表面利回りだけで投資判断をしてしまうと、後々後悔することにもなりかねません。そのため、支出を加味した「実質利回り」で投資判断することが賢明であるとも言えます。

実質利回り

実質利回りとはキャッシュフローベースで計算される利回りです。いわば手残り金額で計算する利回りとも言えます。

実質利回りは以下の計算方法で算出可能です。

実質利回り(%)=(年間収入-支出費用)÷購入価格×100

不動産投資における支出費用は主に以下の項目が該当します。

  • 借入金の利子
  • 租税公課(固定資産税・都市計画税)
  • 管理手数料
  • ランニングコスト(外部の電気代金・水道料金など)

先ほどの表面利回りと同じ条件で、かつ支出が年間250万円と仮定した場合、実質利回りは(400万円-250万円)÷5,000万円×100=3%となります。

実質利回り3%ということは、投資金額を全額回収するまでに33年はかかることを意味します。多くの方は「投資金額の全額回収まで33年要するということが長い」と思うのではないでしょうか。

つまり、表面利回りだけで判断するのではなく、実質利回りで投資判断するのが望ましいでしょう。

赤字にならない利回りラインとは

もちろん高利回り物件が収益性を加味すると一番望ましいでしょう。

しかし、節税対策で不動産投資をされている方も多くいらっしゃいます。節税とはいえ、赤字になる物件には投資したくないと思う方が多いのではないでしょうか。

そのため、赤字にならない最低利回りがどれくらいであるのかを紹介します。

全国の空室率は21.4%

最低利回りラインを算出するうえで、入居率を考慮しなければいけません。利回りは入居率100%で計算されることが多いですが、全国平均の入居率は異なります。

平成30年に公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会が発表した、都道府県別「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計」では、全国の空室率は21.4%であることがわかります。

つまり、入居率が78.6%であることも意味します。そのため利回り計算をする場合は、新築物件であろうと、上記の入居率で計算した方が現実的な利回りを算出できるでしょう。

家賃下落率はどれくらい

不動産投資物件は年数が経過する毎に家賃が下落します。

利回りの計算をする際も、家賃下落率を加味した方が将来的なキャッシュフローを計算しやすくなります。

しかし家賃下落率は各物件によって異なるため、明確な数値がなく、投資家が自分でシミュレーションする必要があります。

不動産投資初心者の方は、家賃下落率がわからない場合は下記の表を参考に計算してみましょう。

築年数 家賃下落率
5年 2%~5%前後
10年 5%~10%前後
15年 10%~15%前後
20年 15%~20%前後
25年 15%~25%前後

金利の上昇率とは

2022年不動産投資の事業用ローン金利は、おおよそ1.5%~2.5%が適用されています。

日本銀行が発表している「長・短期プライムレート(主要行)の推移」を見てわかる通り、過去の金利と比較しても、現在が低金利時代と言われていることが納得できるほどです。

しかし、バブル時代と言われた1986年~1991年の金利は6%を超えるほどです。

金利は日本の経済状況だけでなく、世界の金融政策などにも影響されます。つまり、いつ金利が上昇してもおかしくないということは認識しておかなければいけません。

実際、金融機関が事業用ローンの融資審査をする際は、現行の適用金利ではなく、「4%~5%」と負荷をかけて計算します。将来的な金利上昇が発生した場合でも返済できる投資物件であるかを判断するためです。

そのため、金融機関からローンを借りて不動産投資を行う場合は、金利の上昇リスクは加味していた方が良いでしょう。

最低利回りラインとは

では最低利回りラインはどれくらいであるのでしょうか。

一般的には表面利回りでは約10%ほどと言われています。

しかし、不動産投資にはさまざまな種類があるため、一概には言えず、目安の数値としておきましょう。

またこれから投資を検討している物件がある場合は、以下の一例のように最低利回りを計算してみましょう。

  • 投資する物件:5,000万円
  • 年間家賃収入:500万円
  • 表面利回り:10%

上記の条件である場合、以下の手順で計算することで最低利回りラインを算出することが可能です。

  1. 入居率を加味した収入:500万円×78.6%=393万円
  2. 年間返済額:5,000万円の借入返済額(30年ローン、金利4%)=286万円
  3. 租税公課:投資物件価格の2%~3%で計算=100万円
  4. ランニングコスト:投資物件価格の0.1%程度=5万円

年間収入393万円から支出となる費用を差し引くと、2万円の黒字収入となります。

しかし、家賃下落率は加味していないため、投資する物件の築年数に合わせた下落率をかけて計算しましょう。

不動産投資別の都心物件と地方物件の利回りとは

不動産投資を行う場合、東京都などの都心物件と、地方の物件ではどちらの方が利回りは高いのでしょうか。

不動産投資初心者の方へ向けて双方のメリット・デメリットを紹介しながら解説します。

都心部物件の場合

都心部物件の利回りはおおよそ「5%~10%前後」が多いです。

上記の利回りは賃貸アパートや区分所有マンションが該当します。しかし、中古物件の場合はさらに価格が低くなるため、15%以上の物件も見込めるでしょう。

都心部物件のメリット・デメリット

都心部物件のメリット・デメリットは以下の項目が挙げられます。

メリット デメリット
単身者物件は高い入居率を維持できる 物件価格が高い
需要が高いため、売却間口が広い 競争率が高いため、築古物件の入居率は低くなることもある
金融機関の融資が通りやすい 駅から離れた物件の人気がない

都心部は人口流入率が高く、単身者の割合が年々増加傾向にあります。

東京都政策企画局が発表している東京都人口推移を確認すると、東京都の人口は2035年まで増加傾向にあり、単身者は346万世帯にもなります。

単身者の方が戸建てを持つことは考えにくいため、不動産の需要は高いと言えるでしょう。需要が高いということは売却時の購入者が多いことにもつながります。

また、東京都の物件は価格が高いデメリットが挙げられますが、担保評価も高いため、金融機関の融資審査が通りやすい傾向にあります。

しかし、老朽化した物件の人気は弱いため、リフォームなどを行いながら運用していくことが求められるでしょう。

地方物件の場合

地方物件の賃貸アパートや区分所有マンションの利回りは「6%~9%前後」が一般的です。

都心部と比べて平均家賃は低いですが、狭小地なども少なく、建築しやすい特徴もあることから、価格帯は都心部より低くなります。

また、都心部同様、中古物件の利回りは13%~15%にもなります。もちろん物件によって利回りは異なるため、目安としてください。

地方物件のメリット・デメリット

地方物件のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
都心部物件より価格がお手頃 入居率にバラつきがある
競争率が高くない 物件価値が下がることも

地方物件は都心部物件より価格が安く、投資しやすい特徴があります。しかし、入居率は不安定です。

過去に大手企業の工場設立に伴い、多くの賃貸アパートが建築され、たくさんの投資家が購入しました。しかし数年後に工場が撤退し、投資家達が売却したくても買い手が見つからない状況になったケースもあります。

そのため地方物件は常に入居リスクに注意して運用していく必要があります。

まとめ

今回利回りの計算方法と最低利回りライン、都心部と地方物件の利回りを紹介してきました。

利回りは不動産投資判断をするうえで重要な指標であるため、自身で計算できるようにしておく必要があります。

また計算する際は、表面利回りではなく、実質利回りでキャッシュフローを生み出せるかが投資判断の重要ポイントであるとも言えます。

不動産投資初心者の方は、利回りについて十分理解し、都心部物件と地方物件のどちらが自身に合うかよく検討してから始めるようにしましょう。

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