不動産

投資用不動産を買うベストなタイミングとは?アフターコロナの投資戦略

不動産を買いたいけど、今市況はどうなの?とよく聞かれます。

私はこれまでの仕事上でのお付き合いもあり、色々なところから不動産の案件情報が入ってきます。それを見ていると、数年前に比べると利回りが低くなっているように、つまり物件価格が高くなっているように感じます。

すると、以前に比べると割高だからもう少し待った方が良いのか?という意見もありますが、実は数年前も巷では「高値で止まっていて買えない」と言われてました。そこから更に上がっているような状況です。ですので、本当に割高なのかどうかは、不動産価格に影響を与えるファクターをもう少しマクロに見て判断する必要があります。

この記事では、日本の不動産市場の見方と、アフターコロナにおける投資戦略を解説します。

不動産価格に影響を与えるものは?

不動産価格は株価に連動

結論から言うと、不動産価格は株価と密接に関係しています。

日経平均株価と地価公示(資料:不動産流通システム)

80年代のバブル時は地価が上がり続けるという土地神話が前提にあったからか、不動産価格が株価よりも先行していますが、バブル崩壊後の不動産価格は株価の数年後をフォローしています。

株価は景気の先行指標であるため、景気が上向きであれば株が買われ、その後に不動産が買われるというメカニズムです。

不動産価格は銀行の融資姿勢に影響

株価は長期的な指標ですが、もう少し短期的な指標としては、銀行の融資姿勢も大きなファクターとなります。

一般的に不動産は値段が高いので、キャッシュで買える人はそう多くありません。お金持ちそうに見える大家さんの大半は、ローンを組んで不動産を買っています。つまり、銀行が融資の条件を厳しくすると不動産を買える人が少なくなるために、不動産会社は銀行の融資が下りるところまで価格を下げて募集することになります。

近年でも、かぼちゃの馬車を代表とするスルガ銀行の不正融資事件は記憶に新しいですが、あの事件以来、銀行は一棟マンション、シェアハウス等の不動産の査定に厳しくなりました。結果、郊外の戸建てアパートの価格は崩れました。

一方で、コロナの状況でも、自粛要請が発表されるまでは不動産市場は非常に好況でした。むしろ、景気が悪くなって銀行が融資を引き締める前に買わないと!と不動産屋に駆け込んだ人もいるくらいです。

そのくらい、銀行の融資姿勢により市況は変わります。

需要やトレンド

住宅需要や住まいに関するトレンドの変化も市況に影響します。

トレンドと言っても、住みたい街ランキング!などの人気不人気のことではありません。あれはただの住宅販売キャンペーンです。「ファミリーが住みやすい街」と特集されている街も、ファミリーばかりが住んでいるわけではありませんから、あまり意識する必要はありません。

それよりも、近年のメガトレンドの一つは、同居世帯が減りスモールファミリーが増えてきたことです。単身世帯、結婚して子供がいない夫婦、もしくはいても1~2人の核家族、老夫婦など、4人以下の世帯が増えています。これは都心に限らず、郊外や地方も同様です。

スモールファミリーは住まいをコンパクトにし、利便性を求めます。結果として幹線道路や駅に近く、買い物や教育、医療に困らない場所を選ぶ傾向にあります。

コロナで何が変わった?

コロナも不動産市況に大きな影響を与えています。どのような影響があったか、順に見て行きましょう!

財政出動によるヘリコプターマネー

コロナ対策向けの各国の財政支出は1,000兆円を突破しました。これはリーマンショックの2009年の2倍以上と言われています。

支出ルートは、個人向けの現金給付や事業者向けの損失補てん、支払いや税制の優遇など多岐に渡ります。本来市場に供給されたお金は循環していくわけですが、実際には旅行や外食等が制限され、街で消費されずに株や不動産などの投資に向かったと言われています。

株価は経済状況とは大きく乖離し、コロナ前の水準以上に回復しています。不動産価格は株価の後を追いますので、遅れて不動産価格も上昇すると予測できます。

ワークライフバランスに関する価値観の変化

コロナ自粛により自宅で過ごす時間が増え、またリモートを中心とした働き方の変化により、ワークライフバランスの価値観は変化しました。実際に、郊外や地方への移住に関心を持つ人は増えているというデータがあります。

一方で、実際に移住すべきかどうかと考えると何点かの疑問が残ります。

まず、リモートワークは自粛期間の一時的な対応であり、出社が完全にゼロになるわけではありません。自粛解除後もリモートワークを基本にしつつも週に1~2日程度出社している人も多いのではないでしょうか。完全リモートが可能な職種や企業は全体的に見ると限られるのではないかと思います。

また、郊外に行けば災害リスクも高くなり、医療機関や商業施設も少なくなります。従来より郊外の主要ターミナル駅近辺の地価は上昇していますが、郊外に移住するにしても場所を選ぶことになり、人気の場所はすでに密集地域になっています。

オフィス移転についても、チラホラとメディアに取り上げられていますが、現実的には限定的と考えられます。総じて、今時点では従来の都心集約のトレンドに大きな変化は見られません。

結局、不動産はいつ買うべきなのか?

不動産価格は、影響が大きいファクターの順に見ていけば良いです。つまり

不動産価格ファクター
  • 不動産価格は株価に連動する
  • 銀行の融資姿勢に影響される
  • 住まいのトレンドも局所的に影響する

合わせて、コロナにおける影響も加味すると

コロナによる不動産への影響
  • 財政出動により市場にお金が供給され、不動産に向かう可能性は高い
  • 仕事の価値観は変化したが現状として暮らしのスタイルが大きく変わるほどではない

しかしながら,街とは、必ずしも市況や合理性だけで選べるものではありません。昔からお住まいの高齢の方や、単身のサラリーマンや、自営業者や、学生や、外国人や、色んな人が住んでいて、多様性があるのが街です。ご自身の土地勘や嗜好を信じることもまた大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました!