皆さんこんにちは。
2022年3月現在、円安が進んでいます。
執筆時点のドル円為替相場を見ると、1ドル121円となっており、この1年で約10%も円安が進んだことになります。
多くの人は日本円を使って生活していると思います。給料も日本円でもらってると思います。日本で暮らしているので当たり前ですね。日本国内の金融経済をを見ていると、為替が変動しても生活は何も変わらないように感じるかもしれません。
しかしながら、それは為替の影響を企業が吸収し、商品の物価に大きく転嫁していないからで、個人資産は、実はダイレクトに影響を受けています。つまり、円安になると、資産が減っていることになります。
もし海外資産を持たれていない方や、銀行預金で貯金をずっと貯め続けている方がいれば、知らないうちに損をしている可能性がありますので、今すぐ対策をすることをお勧めします。
この記事では円安局面における投資戦略を詳しく解説します。
Contents
円安を想定した投資戦略とは
円安とはどういうことかと言いますと、円の価値が他の外貨に比べて目減りしているということです。
製品を国外に輸出して外貨を稼いでいる企業にとっては、製品を海外で販売することによって得られた外貨を日本円に換算すると、円安局面では多くの日本円が手に入るために利益が増えることになります。
一方で、輸出をメインにしていない大半の事業者や、日本に住んでいる個人にとっては、不利な状況となります。
例えば海外旅行に行くと、日本円を現地通貨に両替すると思いますが、両替して得られるお金が少なくなったりします。海外の食品や製品などを輸入するときも、購入するために通常よりも多くの円を支払う必要があり、生活は苦しくなります。
基本的に円安は個人にとって不利
投資に関しても同じことが言えます。日本国内に閉じた投資を行っている場合、その影響を強く感じることはないかもしれませんが、日本企業は最終的に円建てで評価されますので、グローバル金融においては、総体的にその価値が減少していることになります。
個人としてできる円安局面での投資戦略は以下の二つです。
- 外貨建て資産の割合を増やす
- 円建て負債の割合を増やす
それぞれ見ていきます。
外貨建て資産の割合を増やす
外貨建て資産の割合を増やすことは非常に有効です。つまり円建て資産の割合を相対的に減らすということです。
そうすることによって、円安で円建て資産の価値が目減りしても、持っている外貨建て資産の価値が相対的に増え、円安によるダメージをヘッジしてくれます。
外貨建て資産には、以下のようなものがあります。
- 外貨貯金・FX(通貨スワップ)
- 外国株
- 海外不動産
- 金
外貨貯金・FX(通貨スワップ)
外貨預金を持つということは、もっともシンプルな外貨建て資産への投資になります。
外貨というのはドルやユーロ、ポンドなどの通貨のことを指しています。通貨によってそれぞれ価値や特徴が異なりますが、今回は目的が円の価値の減少をヘッジすることですので、為替相場で基軸通貨として使われている米ドルに変換しておくことが最もスタンダードなやり方になります。
外貨預金を持つ具体的な方法
とりあえず銀行に行けば、外貨預金や外貨積立などのサービスを受けられます。また、FX口座を開いてレバレッジをかけずに(レバレッジ=1倍)ドルを保有するという方法もあります。
ただし、銀行の外貨積立や外貨への両替は、取引手数料に加え、為替スプレッドによる費用が大きいです。円からドル、またドルから円の双方向の精算において、取引手数料と為替スプレッド費用がかかります。そのため、FX口座を使うことをお勧めします。
外貨を持つならFX口座がオススメ
FXは外国為替証拠金取引と言われるデリバティブ取引の一種になります。FXは危険とか思う人もいるかもしれませんが、それはリスク許容度を超えてレバレッジをかけて取引した場合のことで、通常の為替取引は、海外旅行で現地通貨に両替するのと同じくらいの感覚です。
FX口座で取引すると、つまり証拠金取引をすると、現物を受け渡す取引や両替とは異なり、ポジションのオープンしたあとクローズした時に差額を計算し決済するという差金決済取引になります。
つまりドルを買った時、まだ現金は動いておらずドル買いのポジションをとっているということになります。別にこれでも円安ヘッジの効果はあるのですが、あまり長期間放置しておくこともリスクですので、FX口座で現受けを行い、決済をしてドルの現物を保有しておくのが良いと思います。
現受けを行った外貨は、そのまま証券口座や銀行口座に送金できます。証券口座や銀行口座で外貨に変換するよりも、FX口座で変換した方が手数料が大幅に節約できるので、大きな金額を両替する場合はFX口座を使うのが良いでしょう。
外国株
外国株に投資することも外貨建て資産を増やす選択肢のひとつです。
外国株を買うと円安ヘッジのための為替の影響だけでなく、投資先企業の業績にも価値が影響されてしまいます。そのため、純粋に円の価値の減少をヘッジしたいという人には向いていませんが、円安ヘッジと同時に企業の成長による収益も期待することができます。
外国株で最もおすすめなのは米国株です。
上図は世界の株式投資のパフォーマンスですが、リーマン・ショック後の過去10年以上、米国企業のインデックスであるS&P 500が最も上昇していることがわかります。S&P 500に投資することで、基軸通貨である米ドルのポジションを取り、かつ世界で最も成長している企業に投資することができます。
とはいえ、米国に一極集中することもまたリスクであるというのもごもっともなご意見です。その場合は、投資信託などで先進国に投資しているファンドもありますのでそれを購入することも一つの方法です。
例えば三菱UFJ国際投資の「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」はオススメです。経費率が低く、パフォーマンスも良いです。
なお、eMAXISシリーズには全世界に投資している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(※通称オルカン)もあり、これもまた優れた投信ですが、今回は円安のヘッジが目的であるため、お勧めできません。
全世界に投資すると、もちろん新興国も含まれることになりますが、新興国の通貨は先進国に比べて安定していません。もちろん新興国でも通貨価値が上がり利益が出ることもありますが、今回の目的は円安ヘッジですので、新興国にも合わせて投資をしたいという意図がなければポートフォリオに組み込むべきではありません。
海外不動産
海外不動産に投資することも外貨建て資産を増やすことになります。
海外不動産は通貨の分散以外にも色々なメリットがあります。
- 通貨分散効果(円安ヘッジ)
- 減価償却による節税効果
- 人口増加国への投資によるインカムゲイン
- インフレ国への投資によるキャピタルゲイン
海外不動産投資に関してはこちらの記事に詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
金
金(ゴールド)に投資するのもひとつの選択肢です。
なぜ金が円安局面で有利かというと、金は円安ドル高になると基本的に上昇する傾向にあるからです。
金の売買は基軸通貨であるドルで行われることになっていますが、日本の金市場で金を買う場合は、ドルを円に変えてから金を買うという特殊事情があります。そのため、円安によりドルから変換できる円の量が増えるとその分購入される金の量も増え、金の価格が上昇するということになります。
円建ての負債の割合を増やす
これまで外貨建て資産の割合を増やすことを考えてきましたが、逆の発想として、円建ての負債の割合を増やすということも円安のヘッジ手段になります。
円の価値が目減りするということは、円で持っている負債の総量も目減りするということです。例えば100万円の借金をしたとすると、現金が100万円手に入り、負債が100万円増え、これでバランスしている状態になります。次にこの現金100万円を1ドル100円で1万ドルに変換すると、1万ドルと100万円の借金がバランスしている状態です。この状態で円安になり、仮に1ドルが120円になると、1万ドルの価値は120万円になります。一方、負債の金額は100万円のままです。借金は円安局面で相対的に目減りするということになります。
もちろん、借金を全面的に推奨しているわけではありません。借金をすると返済のリスクを負うことになりますので、十分実行可能な返済計画を立てた上で借りるべきだとは思います。あくまで合理的な資産保全や資産運用を考えると、円安局面では借金する方がお得だという話をしております。
円建ての負債割合を増やす方法、つまり借金をする方法についてですが、たとえば以下の方法があります。
- ローンで国内不動産を買う
- 事業ローンを組む
ローンで国内不動産を買う
不動産を買うことが多くの人にとって最も簡単にできる借金の方法です。ローンで家を購入する事によって負債の割合を増やすことができます。
注意点としては、借金をして得られた資産である不動産も円建てであるということです。つまり円安になると同時に目減りしてしまいます。円安圧力以上のメリットがある不動産を意識して買う必要があります。
不動産投資を成功させる秘訣は、こちらもご覧ください。
事業ローンを組む
自分で事業をしている方は事業ローンを多めに組むということも選択肢のひとつです。
最近ではコロナ対策の融資制度も整っており、金利の返済を猶予してもらえるケースもあります。そういった優遇制度を活用しつつ事業を大きくするということも一つの選択肢です。
資産運用の観点では、事業から得られるキャッシュが日本円であるより、インバウンド向けのビジネスなどで外貨を稼ぐことができれば、さらに円安ヘッジになります。
インバウンド向けビジネスでは、例えば観光業やホテル業など、いずれコロナの自粛から回復することを想定し先行投資していくということも十分考えられます。またインターネットを使ったサービスで、外国人に訴求できるような物販やコンテンツ販売など行うことも資産運用の観点では非常に有効です。
まとめ
この記事では、円安局面でできる投資や資産運用の方法について解説しました。
- 外貨建て資産の割合を増やす
- 外貨預金・FX
- 外国株
- 海外不動産
- 金
- 円建ての負債の割合を増やす
- 国内不動産
- ローンを組んで事業投資
今回は為替の観点で解説しましたが、それぞれの投資の特徴については、こちらの記事も参考にしてください。